今日はホスピスで起きた"私の物語"を書きます。
"いのち"に関わること、
"いのち"に関わる人たちを応援するために..
話は先々週に遡ります。
いつも皮肉を言う〇〇さんの
叫び声が聞こえました。
〇〇には付き添う家族がいません。
『いたーい』
『痛いっていってんでしょー』
『痛い、いたーい!』
辺りにスタッフはいません。
ナースコールではなく、
叫び声をあげる〇〇さん。
私はそこへ行っていいのか..
今の私には使える "薬" も "手" もありません。
病名も症状も分かりません。
私には何もできない?
いえ、私には母校で教えられてきたことがあります。
無力だからこそできることがあるのです。
私は〇〇さんのベッドサイドに行き、
共に誰かが来るまで待ち続けました。
待たされる苦痛を感じながら..
痛み止が使われた後、
〇〇さんが 『ここにいて』 と私に訴えました。
私は痛み止が効いてウトウトする〇〇さんの
傍に座り続けました。
〇〇さんは、時折、目を開けて質問しました。
『なんでこんなに苦しむの。死にたい…。』
【…】
【死にたいくらい苦しいと聴こえます。】
『そう…死にたいくらい苦しい…。』
痛み止が効いて表情が緩む中で…
『幸せ…』
【…】
『今、幸せ…ここにいてくれて有難う。』
『でも、私なんで生きているのか分からない。』
【…】
【病気があっても幸せになっていいんです。】
【幸せになるために、何が必要なのか、
自分で見つけなければならないと思うんです。】
『…』
『ときが止まってほしい…』
【…そうですね】
『…帰っちゃうんでしょ。』
【ときは不思議です。帰ったら早く会えるよう、
今度は早く過ぎてほしいと思うから。】
そして2週間たった今日、私は訪問しました。
もう何日も食事も水もとれなくなった彼女は、
話すこともできず、夢と今を行き来している様子でした。
【〇〇さん…約束通り会いに来ましたよ】
『あー 』
【〇〇さん、どこか痛むところありますか?】
【〇〇さん、何か伝えたいことありますか?】
【〇〇さん…そばにいますよ…】
〇〇さんはいつもドアを閉めない人でした。
声の聞こえる距離感を大切にしていた〇〇さん。
〇〇さんは、今何を伝えたいのですか?
〇〇さん… 〇〇さん…
私と言う"容器"は今、貴方で満たされています。
私は貴方の想いを表現する道具になりたい。
私は貴方の"いのち"と触れ合っている。
貴方は私に多くの問いかけを与えてくれました。
私は〇〇さんと過ごせた時間は少ないけれど、
私は〇〇さんと "知り合って" しまったのです。
そう思ったとき私は気づきました。
あれ.. 私は〇〇さんに伝えたいことあったんだ..
【〇〇さんのそばに咲く華やかな百合は、
みんなが〇〇さんのようだと言っていましたよ。】
【〇〇さんは一人ではなかったようですよ。】
【私は貴方と出逢えて、貴方の"いのち"の声を
聴こうといつも耳を澄ませていました。】
【貴方は私に言いました、『幸せ…』と。】
【貴方との出逢いは私をまた変えましたよ。】
【私は貴方をこうして離れた場所でも想っています】
【無力な私にも、やはりできることがあったのです】
【それは『貴方を"想う"こと』…。】
この文章を読んで下さった方が、
カルテからは読み取れない〇〇さんの人生や感情を、
少しでも感じてくれたのならば、
私たちスピリチュアルケア師の活動の意味が深まります。
私たちスピリチュアルケア師は
目の前の人の "想いを表現する容器" に
なりたいと思っています。
(スピリチュアルケア・スタッフ 坂詰大輔)