スピリチュアルケア・ボランティア(11/16)

​『ご飯が美味しくない..』

ある人が二口食べて匙を投げました。

「そんなこと言っちゃダメ。食べれるだけで感謝しなきゃ。」
とスタッフが続けます。

『そうね..』

 
『ご飯が美味しくない』
ある人も言いました。

「何だったら食べれるの?」
とスタッフが言います。

『みんな美味しくない。』

「・・・」

『貴方たちは好きなもの作って食べれるでしょ。私は何もできないのよ!』

 
"ご飯が美味しくない.."
"みんな美味しくない.."
私にはまるで "叫び" のように聴こえました。

 
私は尋ねました。
「コーヒーを淹れてもらえませんか?」

『私が?』

「誰かのために作ると味が違う、そんなことありますよね。」

その方は、私が挽いた豆でコーヒーを淹れ、スタッフに振る舞いました。

 
"失ったもの" や "失っていくもの" しか見えないとき、
"自分が持っているもの" や "自分にあるもの" を
見つめることが出来たら..

その後に聴こえた笑い声は人間の豊かさであると、私は信じています。

(スピリチュアルケア・スタッフ 坂詰大輔