スピリチュアルケア・ボランティア(1/11)

​その人は100錠近い睡眠薬を飲んで運ばれて来ました。

救急外来で胃洗浄を行い、一命をとりとめました。


その人が目覚めたとき、
開口一番 "なぜ助けた!" と言ったそうです。


彼は末期の肺癌で耐え難い苦痛を背負っていました。
彼はインテリジェンス溢れる60代の男性。
妻と二人暮らしでした。


若いときに幼い一人娘を交通事故で亡くし、
苦しみを背負って生きてきました。


今回のことは、熟考に熟考を重ねた
彼の人生の決断であったことを後に知りました。

私が彼と出逢ったのは、その出来事から一週間後でした。


これは今から20年も前、私が看護学生だった頃の話です。

別れの時、息子のように私を見つめていた彼の姿を

今でも鮮明に思い出します。


今日(1/11)、スピリチュアルケア・ボランティアで

民間ホスピスさまを訪問しました。


ある人の物語を聴かせて頂く中で、
突然に記憶が甦りました。


その人は私に影響を与えます。
私もその方の人生に関り、影響を与えます。
その人もまた、何かの記憶を甦らせているのでしょうか...


帰り道、茜色に染まる夕暮れの中を歩きました。
それぞれの人生の夕暮れは何色に染まるのか、
そんなことを考えずにはいられませんでした。


この世界は過酷で不思議で、そして美しい。

あるときは私たちと無関係に振舞い、
あるときは私たちを包み込む。


(スピリチュアルケア・スタッフ 坂詰大輔)