スピリチュアルケア・ボランティア(3/2)

​『忘れ人の物語』


二人が出逢ったとき、二人は認知症でした。


二人は桜が咲いたとき、悲しそうでした。


二人は蝉が哭いたとき、笑い始めました。


二人はトンボが飛んだとき、語り合いました。


二人はお正月がきたとき、いたわりあいました。


そして春がくる前に、二人は一人になりました。


忘れ人が忘れ得ぬ人を
"どこにいったの?" と訊ねます。


そう訊かれる度に私は問われるのです。


そして私は

自分が生きてきた "とき" に問いかけます。


その答えは自らが生きてきた
"とき" に聴くしかないのですから。


貴方の生きてきた "とき" は
そのときに何と答えますか?


そこには貴方にしかない人生が
映されるのでしょう。


こうして "対話" が重ねられていく。


私は今日もホスピスで導かれています。


(スピリチュアルケア・スタッフ 坂詰大輔)